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雑誌掲載著作2

命の生まれる土作り  

(川田薫著 現代農業 1996年1月号から1997年1月号まで連載 )

 近年各所で土壌微生物が話題になっている。19世紀の末に現在と同じように、良い微生物を畑に入れ、農業生産を高めようという試みが世界各地で起こった。しかし、人工的に培養された微生物はいくら土にいれても急速に死滅し、あいついで失敗した。それは土着微生物が様々な酵素を分泌し、外来菌を攻撃し死滅させていたのである。放線菌は有名な抗生物質ストレプトマイシンを出して外来菌を攻撃する。

  土壌微生物と一括りにしているが、微生物は環境を一番良く知っていて環境に適合したものだけが、それぞれの場所に生きていると考えることが重要だということである。

 農業の世界も生産性の高いものを効率的に作るために同じ作物を毎年植えるため、同じ養分だけが選択吸収されて土壌が急激に疲弊する。そうして疲弊した土壌に適合した微生物が増え、それが悪影響を与えている。これが連作障害の原因である。植物が吸収する養分はミネラルであるから、吸収して不足したミネラルを補えば土は作物を植える前と変わらない。こうして土が変わらなければ微生物も変わらないのである。微生物の新陳代謝を旺盛にするのが堆肥の役割である。

 良質な堆肥の完成の目安は放線菌や酵母群の他に小さな硝酸化合物の結晶がキラキラ光りだしているかどうかを観察することである。

  地 域の環境に適合した微生物が増えると土壌中の硝酸態窒素をアミノ酸態窒素にまで変換するはずである。土壌中に残留したアミノ酸態窒素がある環境では酵素の働きによってまったく新しい微生物が誕生すると考えている。新しい微生物が空気中の窒素を固定し、変換していく。この循環が繰り返し進行する。これが窒素の大循環なのである。このような土壌で栽培された作物は健康で食味も非常に良くなる。

 このことを確かめるためにミネラルと良質な堆肥を施して作物の食味を調べる実験を行ったところ、ほうれん草では葉の部分はもちろんの事、根の部分まで甘くなることが確かめられている。

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