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雑誌掲載著作1

地球農学の構想 

(川田薫著 現代農業1991年9月号から1992年1月号まで連載)

あらすじ

 自然が私たちに伝えてくれているメッセージと、その背景には、岩石が大変重要な役割を果たしている。毎年肥料も施さない同じ場所に木々が何百年も繁茂し続けていたり、断崖絶壁の岩肌に大木が堂々と根をおろしているのはなぜであろう。自然は、植物が土や肥料がなくとも岩があれば立派に育つことを教えてくれていたのである。しかし、岩石の種類によって作用の仕方に違いがあるはずである。この謎を解けば現代の農業が抱える難問は解決できるはずである。

 入手可能な岩石を集め、地殻上部、地殻下部、上部マントルに分け、それぞれを代表する岩石からミネラルを抽出し、その働きと、成分分析を行った結果重要な成果を得る事ができたのである。地殻上部の岩石は動植物の成長促進や病害虫への抵抗を高める生理活性、地殻下部の岩石は界面活性、上部マントルの岩石では溶け込んでいたものを分離する働きを持つ事が解かった。

  で は、岩石から抽出したミネラル液に組成の違いがあるのではないか?しかし、その結果は「ほとんど差が見られない」というものであった。岩石とは鉱物の集合体なのだから、各層の岩石の違いはそれを構成している「鉱物(ミネラル)が違う」という事になる。 つまり、岩石のミネラル抽出液は鉱物の性質を反映した溶液だと考えればよいのである。わたしは、シリケート4面体の基本骨格のまわりに多くの金属元素をまとった構造体が大切なのであってバラバラに切り離された元素がたくさんあってもあまり大きな意味を持ってはいないのではないか、と考えている。岩石から抽出したミネラルの分析値に基づいて調合して作物に与えてもミネラル液と同じ効果はあらわしてはくれないからだ。

  い ったいミネラル液の働きとはどのようなものなのか?実際に土壌にミネラル液を与え植物の挙動を観察した結果次の6つの効果が解かった。

1. 電子の移動や振動の相互作用の結果土壌がイオン化される
2. ミネラルバランスの回復
3. イオン化され、ミネラルバランスのとれた土がサラサラになり盛り上がってくる土のソフト化
4. 土のソフト化により土壌中の水分が隙間水になる水の性質変化
5. 今まで植物が利用できなかった光の波長までも利用する光合成促進
6. 生体内の触媒の活性、つまり酵素活性である

 

 小さな小さなミネラルの粒の効果をまとめてきたが、ミネラルがすべてではない。土壌微生物との関わりが重要となってくるが、ミネラルに焦点をあてることによって現代の農業が抱えている問題点をクリアーするだけでなく、自然の大循環のありさまに対する人類の関わり方が垣間見えてきた。

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